森林の減少速度と違法伐採
森林を守りながら、農業を行なうアグロフォレストリーですが、森林破壊は止まっていません。
人間の人口が増えることで加速していった森林伐採ですが、アフリカや南米をはじめ、東南アジアの熱帯林も予想以上の速さで消失していっています。
2022年には、スマトラとボルネオの熱帯雨林もその98%は消えてしまうという警告も出ています。地球上にある森林は、時には1分間で東京ドーム数個分という大きさの面積で減少しているといいます。
森林破壊の最大の原因は人口増加でしたが、まるで加担するかのごとく、ものすごい勢いで破壊をすすめていることがあります。それは、「違法伐採」です。
違法伐採とはその名の如く、法に反して伐採を行なうことです。違法伐採の主な内容は、盗伐・伐採の許可量を超えた伐採・国際条約で保護された樹種の伐採・保護地域内などの禁止地域での伐採・書類偽造による取引・密輸といったものです。
木材の需要が高いという背景から違法伐採はどんどん増え、インドネシアでは伐採木材の7割が違法伐採によるものと推定されています。
インドネシアの他にも、マレーシア・ロシア(極東地域)・アフリカ(カメルーン、ガボン、コンゴ)・ブラジル(アマゾン川流域)が違法伐採が多いとみられています。
違法伐採が及ぼす影響についてG8(主要国首脳会議)では次のようにいっています。
- 国家および地方政府、森林所有者、地域社会から重要な収入と便宜を奪っている
- 森林生態系に被害を与えている
- 木材市場と森林資源の評価を歪め、持続可能な森林経営を阻害する原因となっている
国家や森林経営者にはもちろん、生態系から木材市場までと、その影響は森林に関わるものすべてに及びます。
また「持続可能な森林経営」とありますが、利益追求のみの経営ではなく、貴重な森林資源を次世代に残せるような経営を指しますが、このままだと次世代にも影響を及ぼしてしまうのです。
次世代にも森林が残るよう、農業をしながら森林を守るアグロフォレストリーは、荒廃した森林などに用いられています。
私達ができるアグロフォレストリー
こんなにもアグロフォレストリーが世界的に普及されているのにも関わらず、日本ではまだあまり実施されていないのが現状です。
しかし、日本で実施されていないからといって、私達がアグロフォレストリーに参加できないということではありません。
まずは、アグロフォレストリーについての知識を深め、理解するということが大切なのです。知ることが、普及活動の促進にも確実につながります。しかし、何かしらアクションをしたくて、すぐにできるものであれば、募金があります。
特定非営利活動法人HANDSでは、インターネットのホームページにて、募金を募っています。
HANDSは、2001年よりブラジルのマニコレ市においてアグロフォレストリーを通じて、地域の人々の収入向上などの生活改善と環境保護の活動を行なってきました。この活動資金として、募金を行っています。
アグロフォレストリーの研修を受講した農民たちが、自分たちでいざアグロフォレストリーを開始する際に必要となってくる苗・機械の購入資金に活用したり、アグロフォレストリーによって収穫できたカカオ等の作物を加工する施設を建設するための資金にしたりと、募金によってアグロフォレストリーに参加できるのです。
募金は一口1,000円からできるので、いつものお昼のお弁当やお買い物を少し節約するだけで、世界のムーブメントに参加できます。
もし、今すぐにアクションを起こしたいという人にとっては、一番簡単に、かつ確実にできるのが、この募金活動です。
特定非営利活動法人HANDS以外にも、ホームページにてアグロフォレストリーの募金を募っているところはあります。
いろいろとチェックしてみて、納得できるアグロフォレストリー活動を行なっているところに募金してみてはいかがでしょうか?