ブラジルのアグロフォレストリー

森林保護が大前提のアグロフォレストリーですが、地域の人々の生活を向上させることが第一の目的として行なわれることもあります。

 

たとえば、アマゾン西部であるブラジルのマニコレ市で行なわれているアグロフォレストリーは、人々の食生活と収入が改善されるために始まりました。

 

マニコレ市の人々の主な食料はキャサッバ芋と魚で、ビタミン不足の食生活を送っていることにより、高血圧や栄養不良が問題として挙げられています。

 

また、収入はごくわずかで、さらなる収入を求めて都市に出る人も多いのですが、定職を見つけることは難しいのが現状です。

 

収入源となる農業は、キャサッバ芋のみの栽培ですが、人口増加により需要が多いため、芋を作る土地に休息期間を与えることができず、焼畑を繰り返すこともあり、土壌劣化や乾燥化を引き起こし、農業の持続性までもが危ぶまれていました。

 

収穫が滞ると、収入はもちろん減ります。その結果、収入を求めて出て行く人が増えると土地を守る人がいなくなるため、新たな開発の対象地域になり、環境破壊の対象になってしまうのです。

 

このような負のスパイラルから脱するために、まずは人々の生活確保のために始まったアグロフォレストリーは、マニコレ市の人々の農業技術を向上させることで、持続可能な農業方法によって収穫が絶えぬようにし、食生活と収入の問題を改善することを第一の目的としています。

 

その結果、アマゾンの森も守ることができるのです。マニコレ市では、次世代にも森林と安定した生活を引き継げるように、アグロフォレストリーの普及に取り組んでいるのです。