アグロフォレストリーに不向きな伝統農法
国際的活動になっているアグロフォレストリーですが、より早く、より世界各地で実施されたいと思われながらも、時間がかかることや、すべての場所で必ずできるというものではないということといったデメリットがあります。
この他にも、大々伝わる伝統的農法を行なわれていた畑には、アグロフォレストリーを実施できないというデメリットもあります。その伝統的農法とは、「焼畑」です。
従来の農法には、焼畑とプランテーション農法というものがありますが、アグロフォレストリーに関わる農法は焼畑になります。
焼畑とは、その名の通り、樹木・草を焼いて、それによって出た灰の肥料成分で作物を育てる農法のことです。
焼畑は、一回目は灰の肥料成分で栽培・収穫できるものの、その後は無肥料栽培なので収穫が落ちてしまうため、また新たに焼畑を行なわなければいけません。
熱帯地域でもこの農法は行なわれてきました。その理由には、熱帯の土壌はやせていて、土壌の成分が酸性のラトソルというものが主成分なので、焼畑によって出た灰が中和剤となり、混ざり合って改良されるからです。
焼畑は作物を栽培・収穫した後、数年もしくは数十年放置し、また同じところで焼畑を行います。焼畑などの人為的作業や災害を受けた後に、再生した森林のことを二次林といいます。
熱帯地域ではこの二次林をアグロフォレストリーに活用しようとしていますが、二次林が回復しきれていない状態のために、アグロフォレストリーに着手できないというケースがあります。
焼畑は、そこから延焼して山火事が起こることもあり、そうなると森林減少につながります。
アグロフォレストリーを普及させていこうという流れがありますが、焼畑は熱帯地域では繰り返し行なわれてきた農法のため、その跡地がすぐにアグロフォレストリーに着手できないというデメリットをつくってしまったのです。