アグロエコロジーについて

アグロフォレストリーと関わりの新しい言葉があります。それは「アグロエコロジー」です。アグロエコロジーとは、アグロフォレストリーに比べると、まだあまり浸透していません。

 

このアグロエコロジーとは、どのようなものなのでしょうか?

 

アグロフォレストリーはここまで述べてきたように、森林保護を前提にした、農業と林業を複合的に経営する農法のことをいいました。

 

つまり、農業においての新しい活動を指しています。しかし、アグロエコロジーは、新しい国際的な学問なのです。

 

内容は、農場・農村景観といった農業全般から、その地域のコミュニティまで視野に入れており、アグロフォレストリーでも重きをおいている「持続的」な食料の生産・流通・消費を目指しています。

 

また、学問としては、文化人類学・社会学・環境額・倫理学・経済学等のありとあらゆる学問につながっています。

 

つまり、人が農業とともに生きて行く上でのすべての関わりを「アグロエコロジー」という大きな枠組みで囲んだものといえば良いでしょう。

 

アグロエコロジーは、その言葉から最新のものと思われがちです。しかしながら、文化人類学等の既存の学問からそれぞれの要素を含んだものであることから、伝統的な農業の研究から生じたものでもあります。

 

今まで農民達は、リスクを最低限に抑えながら長期的に収穫を安定させ、かつ作物の多様性も生み出し、限りある資源の中で収穫を繰り返し行なってきました。

 

このような伝統的な農業の繰り返し行なわれてきた活動から、現在の発展途上国にも活用できるのではないか、というのがアグロエコロジーです。

 

持続的な生産を目指すアグロフォレストリーを学問にし、アグロフォレストリーに関わるすべてのことを学ぶためにできたのが、アグロエコロジーなのです。

アグロエコロジーのシンポジウム

アグロエコロジーも、アグロフォレストリーのようにシンポジウムが開催されています。2009年5月には、恵泉女学園大学で、アグロエコロジーの国際シンポジウムが開催されました。

 

このシンポジウムの狙いは、やはり「持続可能」というのが一つのキーワードとなっています。持続可能な環境や社会をつくるための、学問としてのアグロエコロジーはどういうものか、教育プログラムはどうあるべきかを考えるもので、アグロエコロジーの可能性について問うものです。

 

このシンポジウムには、アグロエコロジーの提唱者であるS.グリースマン教授が来日して講演をしました。

 

また、S.グリースマン教授のパートナーで、環境教育プログラムLife Labサイエンスピログラムの創立者のR.ジャファ氏、アグロエコロジー研究で活躍されている日本人研究者の村本氏も参加しています。

 

アグロエコロジーという大きな概念を理解するために、食育や環境教育・食育教育・地域との連携する際の活用・実践などについて論議したもので、アグロエコロジーの概略を知るにはとてもわかりやすい講演だったようです。

 

このようなシンポジウムは、特定の人だけではなく自分も聴衆として参加できるので、今まさに研究している方の生の声を聞いて、アグロエコロジーとともにアグロフォレストリーについて知ることができる絶好の場となります。

 

アグロエコロジーは範囲が大きすぎるので、自分だけで詳細まで調べるのは労力がかかります。そのため、このようなシンポジウムへの参加はとても有意義なものとなります。