現在のベンチャー企業の背景
さて、前回はベンチャー企業の経営破綻について説明しました。
経営破綻は、何もベンチャー企業だけにいえることではありません。
社会全体が、長い長い不況の最中にあります。大企業も、小企業も、悪戦苦闘を強いられているのです。
そんな、「百年に一度の不況」とまで評される昨今。この大不況の中で国民の生活も大きく変わりました。
夫婦はその経済事情から、一人しか子供を育てられず、共働きの家庭が増えました。しかし、それでも貯金が増えず、そんな家庭を尻目に、政府はしゃかりきに増税へ向かう姿勢を見せています。
貧困にあえぐ消費者から血税をしぼろうと、政府が増税を声高に叫ぶ中、国民はますます財布の紐を固くし、贅沢を控えている傾向にあります。
「財布の紐を締める」というのは、まさに冒険の対義語だといえます。
「冒険」ができない空気の中、ベンチャー企業もまた、本来の冒険的なビジネスができなくなってきています。
ベンチャー企業特有のもの。ベンチャー企業にしかできない事業が、あまりなされていない……というより、「しにくい」状況下にあるのです。
ベンチャー企業といえば、「革新的」で「成長力のある」、「冒険的な」ビジネスを展開できる企業を指しますが、近年ではその萎縮したムードの中で、ベンチャー企業本来の「挑戦していく姿勢」が失われているように思われます。
確かに、動かなければ安全ということはあります。
成功する可能性がない代わりに、失敗する可能性もありません。
しかし、動かなければ何も変わりません。成功は挑戦の先にしかないともいえます。
現代のベンチャー企業の背景には、やや過酷ともいえる世情の流れがありますが、そんな時代だからこそ「冒険心を発揮できるフレッシュな企業」が求められているのです。
ベンチャー企業だからこそ、大変なこともありますが、ベンチャー企業だからこそ、できることがあります。
現在のベンチャー企業の背景には、あまりいい風向きはありませんが、そんな中だからこそ、より前向きな力で、挑戦を続けてほしいと思います。