ナスダックジャパンの撤退の裏とベンチャー企業について
前回は、世界最大のベンチャー企業向け市場、ナスダックについてお話しましたね。
今回は、その日本版であった「ナスダックジャパン」が、どうして撤退に追い込まれたかということをお話していきます。
まず、ナスダックジャパンの失敗の最もたるところは「資金の使い方」になあります。
単純に言えば、資金繰りがうまくいかなかった。思うように収益が得られなかった。ということなんですが、その内容にはややずさんなところがあります。
このナスダックジャパンは、ベンチャー企業が上場するまでの期間が通常二年以上かかることを見て、「じゃあもっと早く上場できるようにしようじゃないか」と乗り出します。
この日本版の開設の話を進め始めたのは1999年。ソフトバンクの孫正義氏は積極的に開設に関与していました。
しかし、開設当時の資本はあっという間に失われてしまいます。
幹部の年棒は大きいのに、その分のお役目である「上場する企業を増やす」ことは中々できませんでした。
二年の経営の中、上場できた企業はたった98社。これは、当初の目標値を大きく下回る数字でした。
さらにナスダックジャパンは、内部のわだかまりなどを抱えながら業績悪化の一途をたどり、ナスダックから「これ以上は経営させませんよ」というお達しが出てしまいました。
これらが、ナスダックジャパンの撤退の事情です。日本の企業と異なり、引き際が早く、事業は早々にヘラクレスに引き継がれましたが、もしこれ以降も経営を続けていたら、ナスダックはさらなる損失を招いていたのかもしれません。